海野 十三

地軸作戦

1

某大国宰相の特使だと称する人物が、このたび金博士の許にやってきた。

金博士は、当時香港の別荘に起き伏ししているのである。

別荘と申しても、これは熱海の海岸などによくある竹の垣を結いめぐらして、湯槽の中から垣ごしに三原山の噴煙が見えようというようなオープンなものではなく、例によって香港の地下三百メートルに設けられたる穴倉の中にその別荘があるのであった。

青空文庫の作品カード