海野 十三

火星兵団

1 奇怪な噂

もはや「火星兵団」の噂をお聞きになったであろうか!

ふむ、けさ地下鉄電車の中で、乗客が話をしているのを、横からちょっと小耳にはさんだとおっしゃるのか。

――いや全く、こいつは冗談じゃないですぞ。これはなにも、わしたち科学者が、おもしろ半分におどかしたがって言うのではないのですわい。今われわれ地球人類は、本気になって、そうして大いそぎで戦闘準備をしなくちゃならんのだ。しかるに、わしのいうことを小ばかにして、だれも信じようとはしない。これでは、やがてたいへんなことになる。わしは今から予言をする! 地球人類は、一人残らず死んでしまうだろう。第一「火星兵団」という名前を考えても、その恐るべき相手が、どういうことをしでかすつもりだか、たいがい想像がつくはずじゃと思うが――。

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