海野 十三
人造人間エフ氏
人造人間の家
このものがたりは、ソ連の有名な港町ウラジオ市にはじまる。そのウラジオの街を、山の方にのぼってゆくと、誰でもすぐ目につくだろうが、白い大きな壁と、そのうえに青くさびた丸い屋根をいただき、尖った塔が灰色の空をつきさすように聳えているりっぱな建物がある。
「ああ、じつにりっぱなお寺だなあ」
知らない人は、きっとそういうであろう。ところが、この建物は、昔はお寺であったにちがいないが、今はそうではない。では、あれは一体どういう家なのであろうか? ほかでもない。あれこそイワノフ博士の『人造人間の家』なのである。