尾形 亀之助

私と詩

私の詩は短い。しかし短いのが自慢なのではない。自分としてはもう少し長い詩が書きたい。そして、もう少し私は詩の中に余裕をもちたい。「笑ひ」といふやうなものをゆつくり詩に書いてみたい。私の今の詩は詩集として一つに纒めて読んでもらうのが一番よいのだが、さう思ふやうに詩集は出せない。

私は又、思想にも詩作にも未だ固つたものを持つてゐない。このことはどんな風に今の私を言ひ著せばいゝのか私にはわからない。「私のやうな詩はどうかしら」と識者に見てもらつてゐる――と言つてよいと思ふ。唯、私はよい詩を作るやうになりたい。ぼんやりでいゝから一つの心境をつかみたい。(暗がりを手さぐりで歩いてゐることを思ふとさみしい)

私は詩作の生活に入つて七年になる。その六年間余の間には絵を描いてゐた頃もあつたが、詩は十編と発表してはゐないと思ふ。その間の作品の半分を大正十四年暮れに「色ガラスの街」に綴つた。半分は捨てゝしまつた。

そして去年の五月頃から、詩の数から言へば秋になつてから今年の一月までに八十余編の詩作をして六十編余の詩を発表した。識者はこの私の詩を見てゐて呉れるものと自分は思つてゐる。だが、私はこれらの評言を待つてゐるよりも、もつとよい詩を書かなければならないと思つてゐる。一生懸命になつてゐなければ、ますます淋しくなるばかりだ。

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