吉行 エイスケ
戦争のファンタジイ
1 すでに街娼のことについて屡々、僕はその実在についてのエピソードを書いた。
かの女たちの色彩の同一色であることは、労働者の持つ社会観が赤と黒によって染められたと同じく、かの女たちのイヴニング・ドレスの黒色と紅の一線が虹のように浮き、厚化粧に口紅の持つ特殊な色は、これはマドモアゼルでもなし、不良の女でもなし、ショップ・ガールでもない、商売女としての商標を明瞭に人々に感じさすところの色彩だ。
この間も僕は妻を同伴して銀座を散策してかの女たちの一人を見出すと、妻にかの女こそ、ストリート・ガールの典型的なものだ。と、云った。
流行品店とキャバレーのあるアスファルトの露地に、黒いケープレットのついた夜の衣裳をつけて、ハイ・ヒールのエナメルの靴を穿いた都会の売笑婦。