海野 十三
○○獣
眠られぬ少年
深夜の大東京!
まん中から半分ほど欠けた月が、深夜の大空にかかっていた。
いま大東京の建物はその青白い光に照されて、墓場のように睡っている。地球がだんだん冷えかかってきたようで、心細い気のする或る秋の夜のことだった。その月が、丁度宿っている一つの窓があった。その窓は、五階建ての、ネオンの看板の消えている、銀座裏の、とある古いビルディングの屋上に近いところにあって、まるで猫の目玉のようにキラキラ光っていた。
海野 十三
眠られぬ少年
深夜の大東京!
まん中から半分ほど欠けた月が、深夜の大空にかかっていた。
いま大東京の建物はその青白い光に照されて、墓場のように睡っている。地球がだんだん冷えかかってきたようで、心細い気のする或る秋の夜のことだった。その月が、丁度宿っている一つの窓があった。その窓は、五階建ての、ネオンの看板の消えている、銀座裏の、とある古いビルディングの屋上に近いところにあって、まるで猫の目玉のようにキラキラ光っていた。