海野 十三

不思議なる空間断層

友人の友枝八郎は、ちょっと風変りな人物である。どんなに彼が風変りであるか、それを知るには、彼が私によく聞かせる夢の話を御紹介するのが捷径であろう。

かれ友枝は、好んで夢の話をした。彼が見る夢は、たいへん奇妙でもあり、そして随分しっかりした内容をもっていて、あまり夢を見ることのない私などにとっては、美しくもあれば、ときにはまた薄気味わるく感ずることもあるのだ。(乃公は夢で、同じ町を幾度となく見る)と、彼は空ろな眼をギロリと動かしていうのであった。(……ああ、いつか来た町へまた出たよ、とそう感付くのだよ。すると、夢の中だけで知り合いになったいろいろな顔の人物が、あとからあとへと現われてくるのだ。年配の男もあれば、妙齢の女もある。……乃公はその不思議な人物たちと、永い物語の次をまた続けてするように、前後があった話をし合うのだ。しかしどっちかというといつも似たようなことを繰返していて、ああ、この次はこうなるな――と思うと、きっとそのようになってゆくのだ。おかしいほど、乃公の想像が適中するのだよ。それからもう一つ奇妙なことがある。それは乃公のこの顔だ。その夢の中で、乃公は一つの顔を持っているが、その顔というのが、なんと今君が見ている乃公の顔とは全然違った顔なのだ。顔色だってこんなに青白いんではない、赤銅色に赭いとでもいうか。顔の寸法も、もっと長く、鼻はきりりとひきしまり、口もたいへんに大きくて、そして眼光なんか、実にもう生々としているのだ。その上に、頭髪なんども、毛がふさふさとしていて立派だし、それに勇ましい髭なんか生やしているんだ。――その豪そうな顔の男が夢の中の乃公なのさ。どうだ、随

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