泉 鏡花

みさごの鮨

一

「旦那さん、旦那さん。」

目と鼻の前に居ながら、大きな声で女中が呼ぶのに、つい箸の手をとめた痩形の、年配で――浴衣に貸広袖を重ねたが――人品のいい客が、

「ああ、何だい。」

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