泉 鏡花

半島一奇抄

「やあ、しばらく。」

記者が掛けた声に、思わず力が入って、運転手がはたと自動車を留めた。……実は相乗して席を並べた、修善寺の旅館の主人の談話を、ふと遮った調子がはずんで高かったためである。

「いや、構わず……どうぞ。」

振向いた運転手に、記者がちょっとてれながら云ったので、自動車はそのまま一軋りして進んだ。

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