戸坂 潤
世界の一環としての日本
序
ここに編纂したものは、必ずしも研究論文ではない。と共に一時的な時評でもない。私は、時代の評論とでも云うべきだと考える。大体から云うと、ごく啓蒙的なものであるから、無用な先入見にわずらわされない読者には、読みよいものかと思われる。
日本は世界的な角度から見られねばならぬ、というのが私の一貫する態度だ。これは、日本は民衆の立場から見られねばならぬということに基くのである。ここに私が民衆と呼ぶのは、支配者が考えるあの民衆のことではなくて、自主的に自分の生活を防衛して行こうとする民主的な大衆のことだ。
すでに一旦発表されたものに相当手を加えたものであるが、特に日本型ファシズムに就いての私の予備概念には多少の変化があるのだが、その点に関係する部分を徹底的に書き改める都合がつかなかったのは残念である。