北原 白秋
香ひの狩猟者
1
幽かに香ひはのぼる。蕾のさきが尖つてゐるのは内からのぼる香ひをその頂点でくひとめてゐるのだ。花がひらいた時は香ひもひらいてしまふ。残りの香のみの花を人は観てゐる。
2
開いた朝顔が萎へると蕾のやうになる。それもちぢれて蕾の巻いた尖りは喪はれ、香ひのみか色までが揉みくちやだ。その上に落ち散つた象を紙巻煙草の吸殻のやうだといへば乾く。火鉢の灰の中に散らばる紙巻煙草の吸殻を朝顔の散り花のやうだといへば香ひがつく。ものは言ひやう、喩は感じ方なのだ。
北原 白秋
1
幽かに香ひはのぼる。蕾のさきが尖つてゐるのは内からのぼる香ひをその頂点でくひとめてゐるのだ。花がひらいた時は香ひもひらいてしまふ。残りの香のみの花を人は観てゐる。
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開いた朝顔が萎へると蕾のやうになる。それもちぢれて蕾の巻いた尖りは喪はれ、香ひのみか色までが揉みくちやだ。その上に落ち散つた象を紙巻煙草の吸殻のやうだといへば乾く。火鉢の灰の中に散らばる紙巻煙草の吸殻を朝顔の散り花のやうだといへば香ひがつく。ものは言ひやう、喩は感じ方なのだ。