与謝野 晶子

文化学院の設立について

私は近く今年の四月から、女子教育に対して、友人と共にみずから一つの実行に当ろうと決心しました。これは申すまでもなく、私にとって余りに突発的なことであり、また余りに大胆なことでもありますが、しかし私には、従来の私の生活と同じく極めて真剣な事業であって、短時日の間ながら、十分慎重に、考えられるだけのことは考えて決心したつもりです。軽率な思立ちでないということだけは断言が出来ます。

私はこの事の経過を簡単に書き、また私たちがこの事業に対する計画の摘要をも添えて置こうと思います。

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私はこの両三年、個人と社会との如何なる問題を考えて見ても、必ず一応は経済問題に触れ、更に徹底しては人格問題に触れて已むことを見ました。日本人の振わないのは、要するに人格の精錬が不足しているからだということに帰して行くのです。これがために私は機会のあるたびに教育の改造を述べて、人間性の教育を社会に相談しました。そうして、自分の子女に対する外には教育の経験を持たない私が、自ら揣らずして、実際の教育に少しばかり関係して見ても好いという衝動をいつの間にか心の隅に感じているのでした。私が実際の教育というのは、男女共学制の下に試みる、中学程度から大学程度までの新しい特別の自由教育をいうのです。しかしそんな事が私自身の上に実現されようとは考えてもいなかったのですが、意外にも茲にその機会が参りました。

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