泉 鏡花
白金之絵図
一
片側は空も曇って、今にも一村雨来そうに見える、日中も薄暗い森続きに、畝り畝り遥々と黒い柵を繞らした火薬庫の裏通、寂しい処をとぼとぼと一人通る。
「はあ、これなればこそ可けれ、聞くも可恐しげな煙硝庫が、カラカラとして燥いで、日が当っては大事じゃ。」
と世に疎そうな独言。
泉 鏡花
一
片側は空も曇って、今にも一村雨来そうに見える、日中も薄暗い森続きに、畝り畝り遥々と黒い柵を繞らした火薬庫の裏通、寂しい処をとぼとぼと一人通る。
「はあ、これなればこそ可けれ、聞くも可恐しげな煙硝庫が、カラカラとして燥いで、日が当っては大事じゃ。」
と世に疎そうな独言。