宮本 百合子

われを省みる

一

『女性日本人』の編輯に従事して居られるY氏が見え、今度同誌で、各異る年代にある人々の、年齢感ともいうべきものを蒐集されるまま私は非常に興味あり、また有益なことだと思います。

一体私共は余り無反省に年をとり過ぎます。年齢を云々することは、何故人生にとって意義あることなのか、省察する暇もなく、口真似のように「いくつ、いくつ」と云う。

甚しい場合、時に日本等に於ては、年をとっていると云う一事実のみが、或る階級的権威を持つ場合があります。内容は重きを置かれない。為に、老若と云う時間的な差は、全く相互の人間的連鎖を破壊し、一つ地上に生活していながら草木に対する程の愛さえ、互に持ち得ない場合があるのです。科学者の或る者は、自然の大律である淘汰の原則によって、そうであると云うかも知れません。生物学的の立場からのみすれば、その言も正しいかも知れない。けれども、思想の上から見ると、これ等、殆ど悲劇的な離反の大部分は皆各自の生活を、悠久な人類の歴史的存続というところまで溯らせて考察する明に欠けているからと思われるのです。

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