芥川 竜之介
パステルの竜
これは上海滞在中、病間に訳したものである。シムボリズムからイマジズムに移つて行つた、英仏の詩の変遷は、この二人の女詩人の作にも、多少は窺ふ事が出来るかも知れない。名高いゴオテイエの娘さんは、カテユウル・マンデスと別れた後、Tin-tun-Ling と云ふ支那人に支那語を習つたさうである。が、李太白や杜少陵の訳詩を見ても、訳詩とはどうも受け取れない。まづ八分までは女史自身の創作と心得て然るべきであらう。ユニス・テイツチエンズはずつと新しい。これは実際支那の土を踏んだ、現存の亜米利加婦人である。日本ではエミイ・ロオウエル女史が有名だが、テイツチエンズ女史も庸才ではない。女史の本は二冊ある。これは一九一七年に出た、二冊目の PROFILES FROM CHINA から訳した。訳はいづれも自由訳である。
月光
――Judith Gautier――
満月は水より出で、