宮本 百合子
一隅
洋傘だけを置いて荷物を見にプラットフォームへ出ていた間に、児供づれの女が前の座席へ来た。反対の側へ移って、包みを網棚にのせ、空気枕を膨らましていると、
「ああ、ああ、いそいじゃった!」
袋と洋傘を一ツの手に掴んだ肥った婆さんが遽しく乗り込んで来た。
「早くかけとしまいよ、ばあや、そら、そこがあいてるわよ、かけちゃいさえすればいいから……よ」
宮本 百合子
洋傘だけを置いて荷物を見にプラットフォームへ出ていた間に、児供づれの女が前の座席へ来た。反対の側へ移って、包みを網棚にのせ、空気枕を膨らましていると、
「ああ、ああ、いそいじゃった!」
袋と洋傘を一ツの手に掴んだ肥った婆さんが遽しく乗り込んで来た。
「早くかけとしまいよ、ばあや、そら、そこがあいてるわよ、かけちゃいさえすればいいから……よ」