渡辺 温
イワンとイワンの兄
1
父親は病気になりました。あんまり年をとり過ぎているので再び快くなりませんでした。父親は自分の一生がもうおしまいになってしまったことを覚って、二人の息子を――即ちイワンの兄とイワンとを枕元へ呼び寄せて遺言しました。
先ず兄に云いました。
『お前は賢い息子だから、私はちっとも心配にならない。この家も畑もお金も、財産はすべてお前に譲ります。その代り、お前は、イワンがお前と一緒にいる限り、私に代って必ず親切に面倒をみてやって貰い度い。』
渡辺 温
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父親は病気になりました。あんまり年をとり過ぎているので再び快くなりませんでした。父親は自分の一生がもうおしまいになってしまったことを覚って、二人の息子を――即ちイワンの兄とイワンとを枕元へ呼び寄せて遺言しました。
先ず兄に云いました。
『お前は賢い息子だから、私はちっとも心配にならない。この家も畑もお金も、財産はすべてお前に譲ります。その代り、お前は、イワンがお前と一緒にいる限り、私に代って必ず親切に面倒をみてやって貰い度い。』