宮本 百合子
著者の言葉(『新しきシベリアを横切る』)
この本に集められている作物は、殆どみんなモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で書かれたものだ。一九二八年の春から、一九三〇年の秋まで。少し、日本にかえってから書いたものも入っている。
ソヴェト同盟における三年間の滞在は、実に自分に多くのものを教えた。階級的にどう生きるべきかということを自分に教えたのも、この三年間の見聞の結果だ。自分は本からの理窟でなく、日常の生活から、体でそれを学んだ。
ところで、この旅行記一巻の中に、そのように一人の日本女をこね直したほど強力な、ソヴェト同盟の社会生活の全幅がもられているか?
いや。ここに集められている旅行記は断片的だ。それに、書きかたが、多く、自分の古い技術のかたによって書かれている。つまり、まあ気取ってるのだ。