梶井 基次郎

泥濘

一

それはある日の事だった。――

待っていた為替が家から届いたので、それを金に替えかたがた本郷へ出ることにした。

雪の降ったあとで郊外に住んでいる自分にはその雪解けが億劫なのであったが、金は待っていた金なので関わずに出かけることにした。

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