国木田 独歩

鹿狩り

『鹿狩りに連れて行こうか』と中根の叔父が突然に言ったので僕はまごついた。『おもしろいぞ、連れて行こうか、』人のいい叔父はにこにこしながら勧めた。

『だッて僕は鉄砲がないもの。』

『あはははははばかを言ってる、お前に鉄砲が打てるものか、ただ見物に行くのだ。』

僕はこの時やっと十二であった。叔父が笑うのも道理で、鹿狩りどころか雀一ツ自分で打つことはできない、しかし鹿狩りのおもしろい事は幾度も聞いているから、僕はお供をすることにした。

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