国木田 独歩

まぼろし

絶望

文造は約束どおり、その晩は訪問しないで、次の日の昼時分まで待った。そして彼女を訪ねた。

懇親の間柄とて案内もなく客間に通って見ると綾子と春子とがいるばかりであった。文造はこの二人の頭をさすって、姉さんの病気は少しは快くなったかと問い、いま会うことができようかと聞いて見た。

『姉さんはおっかさんとどこかへ出ましたよ』と綾子は答えた。

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