田中 貢太郎
南北の東海道四谷怪談
一
伊藤喜兵衛は孫娘のお梅を伴れて、浅草観音の額堂の傍を歩いていた。其の一行にはお梅の乳母のお槇と医師坊主の尾扇が加わっていた。喜兵衛はお梅を見た。
「どうじゃ、お梅、今日はだいぶ気あいがよさそうなが、それでも、あまり歩いてはよろしくない、駕籠なと申しつけようか」
「いえ、いえ、わたしは、やっぱりこれがよろしゅうございます」
田中 貢太郎
一
伊藤喜兵衛は孫娘のお梅を伴れて、浅草観音の額堂の傍を歩いていた。其の一行にはお梅の乳母のお槇と医師坊主の尾扇が加わっていた。喜兵衛はお梅を見た。
「どうじゃ、お梅、今日はだいぶ気あいがよさそうなが、それでも、あまり歩いてはよろしくない、駕籠なと申しつけようか」
「いえ、いえ、わたしは、やっぱりこれがよろしゅうございます」