水谷 まさる
歌時計
序
この小さな童謠集を「歌時計」と名づけたのは、べつに深い意味はない。
わたくしはただ、驚異のねぢを卷いて、そのほどけるがままに、澄み切つた歌をうたひたいと思ふから、あへてかういふ名をつけたのであるが、赤や紫や青の、夢のきれはしを投げつけて、少年のわたしの心をさざなみ立たせたところの、あの「歌時計」の歌のやうな、それほどの魅力がわたしの童謠にあるかないか。
だが、そんな反省にくすぶると、この小さな童謠集に、小さいながらにも、この兩三年間の選集であるだけに、わたしの眉はくもらざるを得ないが、とにかく、歌時計のねぢは健全なる自製であるから、その快よき理由で、自分だけとしては、眉のくもりは追ひ拂ふことにしよう。