グリム ヴィルヘルム・カール・グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
おおかみと七ひきのこどもやぎ
一
むかし、あるところに、おかあさんのやぎがいました。このおかあさんやぎには、かわいいこどもやぎが七ひきあって、それをかわいがることは、人間のおかあさんが、そのこどもをかわいがるのと、すこしもちがったところはありませんでした。
ある日、おかあさんやぎは、こどもたちのたべものをとりに森まで出かけて行くので、七ひきのこどもやぎをよんで、こういいきかせました。
「おまえたちにいっておくがね、かあさんが森へ行ってくるあいだ、気をつけてよくおるすばんしてね、けっしておおかみをうちへ入れてはならないよ。あいつは、おまえたちのこらず、まるのまんま、それこそ皮も毛もあまさずたべてしまうのだよ。あのわるものは、わからせまいとして、ときどき、すがたをかえてやってくるけれど、なあに、声はしゃがれて、があがあごえだし、足はまっ黒だし、すぐと見わけはつくのだからね。」