グリム ヴィルヘルム・カール・グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
ヘンゼルとグレーテル
一
まずしい木こりの男が、大きな森の近くにこやをもって、おかみさんとふたりのこどもとでくらしていました。ふたりのこどものうち、男の子がヘンゼル、女の子がグレーテルといいました。しがなくくらして、ろくろく歯にあたるたべものを、これまでもたべずに来たのですが、ある年、国じゅうが大ききんで、それこそ、日日のパンが口にはいらなくなりました。木こりは、晩、寝床にはいったものの、こののち、どうしてくらすかかんがえると、心配で心配で、ごろごろ寝がえりばかりして、ためいきまじりに、おかみさんに話しかけました。
「おれたち、これからどうなるというんだ。かわいそうに、こどもらをどうやってくわしていくか。なにしろ、かんじん、やしなってやっているおれたちふたりの、くうものがないしまつだ。」
「だから、おまえさん、いっそこうしようじゃないか」と、おかみさんがこたえました。