太宰 治

「晩年」に就いて

「晩年」は、私の最初の小説集なのです。もう、これが、私の唯一の遺著になるだろうと思いましたから、題も、「晩年」として置いたのです。

読んで面白い小説も、二、三ありますから、おひまの折に読んでみて下さい。

私の小説を、読んだところで、あなたの生活が、ちっとも楽になりません。ちっとも偉くなりません。なんにもなりません。だから、私は、あまり、おすすめできません。

「思い出」など、読んで面白いのではないでしょうか。きっと、あなたは、大笑いしますよ。それでいいのです。「ロマネスク」なども、滑稽な出鱈目に満ち満ちていますが、これは、すこし、すさんでいますから、あまり、おすすめできません。

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