アンデルセン ハンス・クリスチャン

旅なかま

挿絵

かわいそうなヨハンネスは、おとうさんがひどくわずらって、きょうあすも知れないほどでしたから、もうかなしみのなかにしずみきっていました。せまいへやのなかには、ふたりのほかに人もいません。テーブルの上のランプは、いまにも消えそうにまばたきしていて、よるももうだいぶふけていました。

「ヨハンネスや、おまえはいいむすこだった。」と、病人のおとうさんはいいました。「だから、世の中へでても、神さまがきっと、なにかをよくしてくださるよ。」

そういって、やさしい目でじっとみながら、ふかいため息をひとつつくと、それなり息をひきとりました。それはまるでねむっているようでした。でも、ヨハンネスは泣かずにいられません、この子はもう、この世の中に、父親もなければ、母親もないし、男のきょうだいも、女のきょうだいもないのです。かわいそうなヨハンネス。ヨハンネスは、寝台のまえにひざをついて、死んだおとうさんの手にほおずりして、しょっぱい涙をとめどなくながしていました。そのうち、いつか目がくっついて、寝台のかたい脚にあたまをおしつけたなり、ぐっすり寝こんでしまいました。

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