豊島 与志雄

月明

一

褌一つきりの裸体の漁夫が、井端で、大漁の鯵を干物に割いていた。

海水帽の広い縁で、馬車馬の目隠しのように雨の頬を包んで、先に立ってすたすた歩いていた姉が、真直を向いたまま晴れやかな声で、

「今日は。」

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