豊島 与志雄

叔父

中野さんには、喜代子という美しい姪があった。中野さんの末の妹の嫁入った武井某の娘だった。

中野さんと喜代子の母とは、母親が違うせいもあったし、年齢も可なり違っていたし、余り仲がよくなかった。その上、中野さんは富有で羽振のいい方だったし、武井の方は零落した貧しい生活をしていたので、両家の交誼はごく疎遠なものだった。それでもやはり、中野さんにとっては、喜代子が美しい姪たるを妨げなかった。

喜代子は時々――といっても二ヶ月に一度くらい――中野さんの家にやって来た。

中野さんには大勢子供があった、男の子や女の子が。そして皆、中野さんに似て不綺麗だった。その中に交ると、喜代子は一段と美しく見えた。

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