豊島 与志雄

二等車に乗る男

十一月の或る晴れた朝だった。私は大森の友人を訪れるつもりで、家を出ようとしていると、高木がやって来た。

「お出かけですか。」

玄関につっ立ってる私の服装をじろじろ眺めながら、高木は格子戸の外に立止った。

「ああ。……だが一寸ならいいから、上ってゆかない。」

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