ロラン ロマン
ジャン・クリストフ
序
予は将に消え失せんとする一世代の悲劇を書いた。予は少しも隠そうとはしなかった、その悪徳と美徳とを、その重苦しい悲哀を、その漠とした高慢を、その勇壮な努力を、また超人間的事業の重圧の下にあるその憂苦を。その双肩の荷はすなわち、世界の一総和体、一の道徳、一の審美、一の信仰、建て直すべき一の新たな人類である。――そういうものでわれわれはあった。
今日の人々よ、若き人々よ、こんどは汝らの番である! われわれの身体を踏み台となして、前方へ進めよ。われわれよりも、さらに偉大でさらに幸福であれよ。
予自身は、予の過去の魂に別れを告げる。空しき脱穀のごとくに、その魂を後方に脱ぎ捨てる。人生は死と復活との連続である。クリストフよ、よみがえらんがために死のうではないか。