豊島 与志雄
街の少年
一
港というものは、遠く海上を旅する人々の休み場所、停車場というものは、陸上を往き来する人々の休み場所、どちらもにぎやかなものです。その港と停車場とがいっしょに集まると、さらににぎやかでおもしろいものです。
インドのある都会の、港と停車場をむすびつける広場でのことです。港には毎日、船がではいりします。停車場には毎時間、汽車がではいりします。そして広場には、しじゅう人通りがたえません。いろんな人が通ります。世界各国の人が通ります。
その広場のかたすみ、橄欖樹のこかげに、トニイは店をだしています。車のうえに板をわたしたやたい店で、絵はがき、絵本、絵いり雑誌、木や竹のおもちゃ、象牙の細工物など、いっぱいにならべています。そしてトニイは、そのやたい店のよこに、木の箱に腰かけて、本を読んでいます。