豊島 与志雄

白藤

草光保治は、戦時中に動員されて外地へ渡り、終戦後復員されて、二ヶ年半ぶりに[#「二ヶ年半ぶりに」は底本では「二ヶ月半ぶりに」]東京へ戻ってきました。

「東京もずいぶん変ったでしょう。」

戦争の話やその他の話の末、周囲の者がきまって彼に向ける言葉は、それでした。東京もというのは、日本も、時勢も、人々も、その他いろいろなものを含めてのことでした。それに対して彼は、曖昧な微笑と曖昧な言葉とを返しました。

「そうですね……。」

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