波多野 精一
時と永遠
亡き妻の記念に
[#改丁]
序
時と永遠の問題は古今を通じて哲學及び宗教の最も重大なる關心事に屬する。それはまた最も困難なる問題の一である。本書は舊著『宗教哲學』において展開されたる解決の試みに基づき、それの敷衍擴充を企圖したものである。尤もここかしこ修正にをはつた處もある。この問題は哲學と宗教とが互の敬意と理解とをもつて相接近することによつてのみ解決されるといふことは著者のかねてより信ずる所である。外面的方便的なる利用や借用又は盲從や迎合などを意味する接近は、いつも行はれがちの事ではあるが、双方の品位を損ね純潔を汚すものとして、遠ざくべきである。本書は哲學の立場に立つたゆゑ勢ひ宗教哲學の觀點を取つた。