山村 暮鳥

雲

序

人生の大きな峠を、また一つ自分はうしろにした。十年一昔だといふ。すると自分の生れたことはもうむかしの、むかしの、むかしの、そのまた昔の事である。まだ、すべてが昨日今日のやうにばかりおもはれてゐるのに、いつのまにそんなにすぎさつてしまつたのか。一生とは、こんな短いものだらうか。これでよいのか。だが、それだからいのちは貴いのであらう。

そこに永遠を思慕するものの寂しさがある。

ふりかへつてみると、自分もたくさんの詩をかいてきた。よくかうして書きつづけてきたものだ。

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