ファイルマン ローズ・宮原 晃一郎
虹猫の大女退治
木精の国をたつて行つた虹猫は、しばらく旅行をしてゐるうち、ユタカの国といふ大へん美しい国につきました。
こゝはふしぎな国でした。大きな森もあれば、えもいはれぬ色や匂ひのする花の一ぱいに生えた大きな/\野原もありました。空はいつも青々とすみわたつて、その国に住まつてゐる人たちはいつも何の不平もなささうに、にこ/\してゐます。でも、たつた一つのことが気にかゝつてゐるのでした。
そのわけは、この国のまん中の、高い岩のがけの上に、一つの大きなお城がたつてゐます。そのお城には――土地の人たちが虹猫に話したところによると――一人の悪い大女がゐて、この国の人たちをさかんにいぢめ、しじう、物を盗んで行きます。ひどいことには、子供までもさらつて行くのでした。
虹猫は、じつさいに、目のあたりこの大女を見たといふ人には、誰ともあひませんでした。が、大女の恐ろしい顔や、そのすることについて、身の毛もよだつやうな話を聞かされました。