芥川 竜之介

新緑の庭

桜 さつぱりした雨上りです。尤も花の萼は赤いなりについてゐますが。

椎 わたしもそろそろ芽をほごしませう。このちよいと鼠がかつた芽をね。

竹 わたしは未だに黄疸ですよ。…………

芭蕉 おつと、この緑のランプの火屋を風に吹き折られる所だつた。

青空文庫の作品カード