マロ エクトール・アンリ
家なき子
ジャンチイイの石切り場
わたしたちはやがて人通りの多い往来へ出たが、歩いているあいだ親方はひと言も言わなかった。まもなくあるせまい小路へはいると、かれは往来の捨て石にこしをかけて、たびたび額を手でなで上げた。それは困ったときによくかれのするくせであった。
「いよいよ慈善家の世話になるほうがよさそうだな」とかれは独り言のように言った。「だがさし当たりわたしたちは一銭の金も、一かけのパンもなしに、パリのどぶの中に捨てられている……おまえおなかがすいたろう」とかれはわたしの顔を見上げながらたずねた。
「わたしはけさいただいた小さなパンだけで、あれからなにも食べませんでした」