坂口 安吾

曽我の暴れん坊

出家の代り元服して勘当のこと

ある朝、曾我の太郎が庭へでてみると、大切にしている桜の若木がスッポリ切られている。

「何者のイタズラかな」

しかし切口を見ると、おどろいた。直径二寸五分ほどもある幹を一刀両断にしたもの、実に見事な切口。凡手の業ではない。しかし、かほど腕のたつ大人がこんなイタズラはしそうもない。イタズラしそうな奴といえば女房の連れ子箱王ぐらいのものだが、奴め剣術の稽古は無類に好きとはいえ、まだ十一の子供。

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