上村 松園

無題抄

私には、どうも絵以外のことですと、どうせ余技にすぎないからという気がして、打ち込んで熱中する気になれない性分があるようです。三味線にしても長唄にしても、最初は謡曲にしても、皆そういう風にずぼらに考えていました。

が、近頃では、如何に余技にしても、どうせやるからには、何かひとつくらい懸命にやってみようという気になって来ています。

上手な人のを聴いていると、節廻しひとつにしても言うに言われない妙味があり、その抑揚の味のよさを聞いて感心するばかりでなく、難しいながらも自分でもやってみようという励みが出て来ます。

そうした励みの気持ちを考えてみますと、形式は違っていても、絵の上で苦心している気持ちと同じ味のものがあると思います。

青空文庫の作品カード