菊池 寛

大衆維新史読本

新撰組結成

新撰組の母胎とも云ふべき、幕府が新に徴募した浪士団が家茂将軍警護の名目で、江戸を出発したのは、文久三年の二月八日であつた。

総勢凡そ二百四十名、二十三日に京都郊外壬生に着いたがこれを新徴組と云ふ。隊長格は庄内の清河八郎で、丈のすらりとした面長の好男子、眼光鋭く人を射る男だつたと云ふ。

幕府は初め、浪士の人員を五十名位といふ方針であつた。しかし、実際は、風雲を望んでゐた天下の浪士達が、旗本位にはなれると云ふ肚で、続々集つてきた。甲州の侠客祐天仙之助が、仔分二十名を引き連れて、加はり、すぐに五番隊の伍長として採用された事などを見ても、大体この浪士団の正体が判る。

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