楠山 正雄
ジャックと豆の木
一
むかしむかし、イギリスの大昔、アルフレッド大王の御代のことでございます。ロンドンの都からとおくはなれたいなかのこやに、やもめの女のひとが、ちいさいむすこのジャックをあいてに、さびしくくらしていました。かけがえのないひとりむすこですし、それに、ずいぶんのんきで、ずぼらで、なまけものでしたが、ほんとうは気だてのやさしい子でしたから、母親は、あけてもくれても、ジャック、ジャックといって、それこそ目の中にでも入れてしまいたいくらいにかわいがって、なんにもしごとはさせず、ただ遊ばせておきました。
こんなふうで、のらくらむすこをかかえた上に、このやもめの人は、どういうものか運がわるくて、年年ものが足りなくなるばかり、ある年の冬には、もう手まわりの道具や衣類まで売って、手に入れたおかねも、手内職なんかして、わずかばかりかせぎためたおかねも、きれいにつかってしまって、とうとう、うちの中で、どうにかおかねになるものといっては、たった一ぴきのこった牝牛だけになってしまいました。
そこで、ある日、母親は、ジャックをよんで、