坂口 安吾
行雲流水
「和尚さん。大変でございます」
と云って飛びこんできたのは、お寺の向いの漬物屋のオカミサンであった。
「何が大変だ」
「ウチの吾吉の野郎が女に惚れやがったんですよ。その女というのが、お寺の裏のお尻をヒッパタかれたあのパンスケじゃありませんか。情けないことになりやがったもんですよ。私もね、吾吉の野郎のお尻をヒッパタいてくれようかと思いましたけどネ。マア、和尚さんにたのんで、あの野郎に説教していただこうと、こう思いましてネ」
坂口 安吾
「和尚さん。大変でございます」
と云って飛びこんできたのは、お寺の向いの漬物屋のオカミサンであった。
「何が大変だ」
「ウチの吾吉の野郎が女に惚れやがったんですよ。その女というのが、お寺の裏のお尻をヒッパタかれたあのパンスケじゃありませんか。情けないことになりやがったもんですよ。私もね、吾吉の野郎のお尻をヒッパタいてくれようかと思いましたけどネ。マア、和尚さんにたのんで、あの野郎に説教していただこうと、こう思いましてネ」