坂口 安吾
投手殺人事件
その一 速球投手と女優の身売り
新しい年も九日になるのに、うちつづく正月酒で頭が痛い。細巻宣伝部長が後頭部をさすりながら朝日撮影所の門を通ろうとすると、なれなれしく近づいた男が、
「ヤア、細巻さん。お待ちしていました。とうとう現れましたぜ。暁葉子が。インタビューとろうとしたら拒絶されましたよ。あとで、会わして下さい。恩にきますよ」
こう云って頭をかいてニヤニヤしたのは、専売新聞社会部記者の羅宇木介であった。
坂口 安吾
その一 速球投手と女優の身売り
新しい年も九日になるのに、うちつづく正月酒で頭が痛い。細巻宣伝部長が後頭部をさすりながら朝日撮影所の門を通ろうとすると、なれなれしく近づいた男が、
「ヤア、細巻さん。お待ちしていました。とうとう現れましたぜ。暁葉子が。インタビューとろうとしたら拒絶されましたよ。あとで、会わして下さい。恩にきますよ」
こう云って頭をかいてニヤニヤしたのは、専売新聞社会部記者の羅宇木介であった。