中里 介山

大菩薩峠

年魚市は今の「愛知」の古名なり、本篇は頼朝、信長、秀吉を起せし尾張国より筆を起せしを以てこの名あり。

一

今日の黄昏、宇治山田の米友が、一本の木柱をかついで田疇の間をうろついているのを見た人がある。

その木柱は長さ約二メートル、幅は僅かに五インチに過ぎまいと思われます。

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