魯迅
兎と猫
わたしどもの裏庭の奥に住んでいる三太太は、夏のうち一対の白兎を買取り、彼の子供等の玩具にした。
この一対の白兎は乳離れがしてから余り長くはないらしく、畜生ではあるが彼等の天真爛※(「火+曼」、第4水準2-80-1)を見出される。しかし真直ぐに立った小さな赤味を帯びた耳と、ぴくぴく動かす鼻と、どぎまぎした眼は、知らぬところに移って来たせいでもあろう。住みなれた家にいた時の安心さはない。こういうものは縁日へ行って自分で買えば、一つが高くとも二吊文に過ぎないが、三太太は一円払った。それはボーイをやって上店から買って来させたからだ。
子供等はもちろん大喜びで、取囲んで見る。他にSという一匹の小犬がある。馳け出して来てふんふん嗅いでみて、嚔を一つして二三歩退いた。三太太は叱りつけ
「S、咬みつくと承知しないよ。よく覚えておいで」