蘭 郁二郎
鱗粉
一
海浜都市、K――。
そこは、この邦に於ける最も華やかな、最も多彩な「夏」をもって知れている。
まこと、K――町に、あの爽やかな「夏」の象徴であるむくむくと盛り上った雲の峰が立つと、一度にワーンと蜂の巣をつついたような活気が街に溢れ、長い長い冬眠から覚めて、老も若きも、町民の面には、一様に、何となく「期待」が輝くのである。実際、この町の人々は、一ヶ年の商を、たった二ヶ月の「夏」に済ませてしまうのであった。
蘭 郁二郎
一
海浜都市、K――。
そこは、この邦に於ける最も華やかな、最も多彩な「夏」をもって知れている。
まこと、K――町に、あの爽やかな「夏」の象徴であるむくむくと盛り上った雲の峰が立つと、一度にワーンと蜂の巣をつついたような活気が街に溢れ、長い長い冬眠から覚めて、老も若きも、町民の面には、一様に、何となく「期待」が輝くのである。実際、この町の人々は、一ヶ年の商を、たった二ヶ月の「夏」に済ませてしまうのであった。