楠山 正雄
瘤とり
一
むかし、むかし、ある所に、一人のおじいさんがありました。右のほおにぶらぶら大きな瘤をぶら下げて、始終じゃまそうにしていました。
ある日、おじいさんは山へ木を切りに行きました。にわかにひどい大あらしになって、稲光がぴかぴか光って、ごろごろ雷が鳴り出しました。そのうち雨がざあざあ降ってきて、うちへ帰るにも帰れなくなりました。どうしようかと思って見回しますと、そこに大きな木のうろを見つけました。しかたがありませんから、その中に入って、雨の小やみになるのを待っているうちに、いつか日はとっぷりくれてしまいました。
深い山の中には、もうきこりの木を切る音もしません。木のうろの外は、一面真っ暗やみの中に、すさまじいあらしが、うなり声を立てて通っていくだけです。