北村 透谷
想断々(2)
兵甲と国家
兵甲を以て国威を張るは変なり。兵甲は寧ろ国家を弱め、人心を危うするに足るも、以て大に国力を養ひ、列国に覇たらしむる者にあらず。国の本真は気にあり。気若し備はらば業挙らむ。凡そ業なくして勇を談ずるは、仮勇なり。業は以て地歩を堅うし、仮勇は以て自らを危うす。
請ふ米国を視よ
米国は迺ち業の国なり。始めより肯て国際間の武威を弄せず。而して各国之を畏る。何が故に畏るゝ、曰く、国民の元気充溢し、百般の業の上に其真勇を睹ればなり。敢て兵甲を以て天下に傲らず、而も諸強国に対峙して遜色ある事なし。