国枝 史郎

首頂戴

一

サラサラサラと茶筌の音、トロリと泡立った緑の茶、茶碗も素晴らしい逸品である。それを支えた指の白さ! と、茶碗が下へ置かれた。

茶を立てたのは一人の美女、立兵庫にお裲襠、帯を胸元に結んでいる。凛と品のある花魁である。

むかいあっているのは一人の乞食、ひどい襤褸を纏っている。だが何んと顔は立派なんだろう! ムッと高い鼻、ギュッと締まった口、眼に一脈の熱気がある。年輩は二十七、八らしい。

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